税理士
[目次]
税理士とは
税務の専門家で、経営者のホームドクターとも呼ばれています。
”申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする”と税理士法第1条にある通り、個人、会社の納税をサポートし、納税を適正に実現する役目があります。
税理士の就職先・活躍の場は、税理士法人・税理士事務所、会計事務所、金融機関、コンサルティング会社、一般企業の経理部や財務部です。
税理士の主な業務
・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談
・e-Taxの代理送信
・会計業務
・補佐人として(税務訴訟における弁護士の補佐)
・会計参与として
税理士の独占業務は①所得税や法人税、相続税の申告に関して納税者を代理して行う「税務代理」、②所得税や法人税、相続税の申告に必要な書類を作成する「税務書類の作成」、③税金の申告や書類の作成に関する相談に応じる「税務相談」の3つがあります。
その他、クライアントの月次または、期毎の会計サポートを行っています。
以前、税理士はAI(人工知能)により仕事がなくなると一時騒がれました。
2014年、AI研究者であるマイケル・A・オズボーン博士による発表論文で、ITの発達による自動化(AIロボット化)により、「10年後には今ある職業の半分がなくなる」と唱えられたことによるものです。
このなくなる職業には、「税務申告書代行者」、「簿記、会計、監査の事務員」がランクインし、そこから将来的に税理士の仕事はなくなるといわれるようになりました。
ですが、人を相手にしている以上、対話での仕事である相談・コンサルは必要不可欠であり、AI技術は税理士のよきパートナーとなっていきます。
税理士を介してチェックすべき書類等は多々あるので、AIにより仕事がなくなることはないでしょう。
日本税理士会連合会 What’s税理士
https://www.youtube.com/watch?v=irrGaaAskfE
税理士になるには
税理士になるには税理士試験に合格し、①通算して2年以上の実務経験がある、②学位による、国税従事者における免除者であること、③公認会計士または弁護士の資格を有する場合、なることができます。
①、②は、2年以上の租税又は会計に関する事務実務経験がある事が必要です。
②学位による、国税従事者における免除者であることは、下記の通りです。
【学位による免除】
修士又は博士の学位を授与された者は、試験の一部が免除されます。
【国税従事者における免除】
・国税従事者における免除 10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
・23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。
税理士試験の受験資格
令和5年度の税理士試験(第73回(予定))から一部受験資格が変更されます。
※2022年時点
会計学に関しては、令和5年(2023年)4月から受験資格が緩和され、どなたでも受験が可能となります。
税法に属する試験科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)については、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格を定めており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
【学識】
・大学、短大または高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目履修した者
・大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試験に合格した者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
【資格による受験資格】
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者
【職歴による受験資格】
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※7)従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
国税庁 税理士試験受験資格の概要
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm
税理士試験の日程
例年 8月中、3日間に渡り実施されます。
おおむね、試験実施官報公告は4月、受験申込みの受付は5月中に行われます。
国税庁:税理士試験
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm
税理士試験の試験科目
【会計学2科目】
・簿記論
・財務諸表論
【税法3科目】
・所得税法、法人税法のいずれか(必須科目)
・選択2科目(消費税法または酒税法、住民税または事業税、相続税法など)
税理士試験の難易度と勉強時間
各科目の合格率はそれぞれ15%前後で、難易度は高いです。
初学者であれば、まずは、会計科目合格のため簿記(日商簿記検定)の学習をし、2級または1級取得後、簿記論、財務諸表論の学習をするのが一般的です。
税法必須科目の所得税法、法人税法ですが、個人を多くクライアントに持つか、企業を多くクライアントに持つかで選択する方が多いようです。
科目名 | 学習時間 | |
---|---|---|
会計学 | 簿記論 | 450時間 |
財務諸表論 | 450時間 | |
税法必須科目※いずれか | 所得税法 | 600時間 |
法人税法 | 600時間 | |
税法選択科目 | 相続税法 | 450時間 |
消費税法 | 300時間 | |
酒税法 | 150時間 | |
国税徴収法 | 150時間 | |
住民税 | 200時間 | |
事業税 | 200時間 | |
固定資産税 | 250時間 |
税理士試験に合格するには
独学では難しいため、資格学校を利用する方が多いです。
通学、通信などの受講方法がありますが、好みに学習法に合わせると良いでしょう。
会計に関して全くの初学者であれば、簿記から学び、簿記2級、または簿記1級取得後に税理士試験の学習に臨むと良いでしょう。
税法科目は、学位による免除を利用する事で、ある程度学習の労力が抑えられます。
5科目のうち、3、4科目の合格後に税理士事務所で残りの科目は働きながら取得し、5科目揃えるという方法もあります。