弁理士
[目次]
弁理士とは
弁理士とは、知的財産に係わる専門家です。
知的財産権の中には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などがありますが、それら知的財産権を取得のために、代理して特許庁への手続きを行います。
また、知的財産権の取得についての相談をはじめ、自社製品が模倣されたとき、他社の権利を侵害していないか等の相談など、知的財産についてのコンサルティングも行います。
弁理士の就職先・活躍の場は、主に特許事務所、特許庁、一般企業の知的財産部や法務部、知財業務を取り扱う法律事務所です。
弁理士の主な業務
・特許出願
・実用新案出願
・意匠出願
・商標出願
・知財相談、知財コンサルティング
知的財産権とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度です。
人間の創造的活動により生み出された「発明されたもの」、「研究等により解明されたもの」などは他の者に盗用または模倣されることがあるため、知的財産権制度により創作者の権利を保護する目的があります。
知的財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権等がありますが大きく分けて2種類に分けられます。
①特許権や著作権などの創作意欲の促進を目的とした「知的創造物についての権利」
②商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」
また、特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権については、客観的内容を同じくするものに対して排他的に支配できる「絶対的独占権」といわれています。
一方、著作権、回路配置利用権、商号及び不正競争法上の利益については、他人が独自に創作したものには及ばない「相対的独占権」といわれています。
①知的創造物についての権利 | 特許権 |
実用新案権 | |
意匠権 | |
著作権 | |
回路配置利用権 | |
育成者権 | |
営業秘密 | |
②営業上の標識についての権利 | 商標権 |
商号 | |
商品表等表示 | |
地理的表示 |
特許庁 知的財産権について
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai02.html
弁理士になるには
弁理士試験に合格し、弁理士登録をする必要があります。
付記弁理士とは
特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつ、日本弁理士会より弁理士登録にその旨の付記を受けたときは、特定侵害訴訟に関して、その訴訟代理人となることができます。
裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができます。
ただし、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、その事件の訴訟代理人となることが可能であり、弁理士の出頭についても、共同受任している場合、弁護士とともに出頭するのが原則となります。
他の国家資格で付記により、本来弁護士が受け持つ訴訟代理等を行えるものに、認定司法書士、特定社会保険労務士があります。
弁理士試験の受験資格
学歴、年齢、国籍等による制限は一切ありません。
弁理士試験の日程
弁理士試験の日程は例年下記の通りとなっています。
受験願書配布 | 3月上旬~4月上旬 |
短答式筆記試験 | 5月中旬~5月下旬 |
論文式筆記試験(必須科目) | 7月上旬 |
論文式筆記試験(選択科目) | 7月下旬 |
口述試験 | 10月中旬~10月下旬 |
弁理士試験の試験科目
【短答式筆記試験】
・特許、実用新案に関する法令
・意匠に関する法令
・商標に関する法令
・工業所有権に関する条約
・著作権法及び不正競争防止法
短答式筆記試験の免除について、下記①~③のいずれかに該当する場合、受験願書提出時に必要書類を添えて申請することにより、短答式筆記試験のすべて又は一部の科目が免除されます。
① 短答式筆記試験合格者
短答式筆記試験の、合格発表の日から2年間短答式筆記試験の全ての試験科目が免除されます。
②工業所有権に関する科目の単位を修得し大学院を修了した者
大学院の課程を修了した日から2年間、工業所有権に関する法令、工業所有権に関する条約の試験科目が免除されます。
③ 特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した者
工業所有権に関する法令、工業所有権に関する条約の試験科目が免除されます。
【論文式筆記試験】
特許・実用新案に関する法令※必須科目 | ||
医療に関する法令※必須科目 | ||
商標に関する法令※必須科目 | ||
選択科目 | 理工I(機械・応用力学) | 材料力学、流体力学、熱力学、土質工学 |
理工II(数学・物理) | 基礎物理学、電磁気学、回路理論 | |
理工III(化学) | 物理化学、有機化学、無機化学 | |
理工IV(生物) | 生物学一般、生物化学 | |
理工V(情報) | 情報理論、計算機工学 | |
法律(弁理士の業務に関する法律) | 民法 ※総則、物権、債権が範囲となります。 |
論文式筆記試験の必須科目の免除について
・論文式筆記試験の必須科目の合格者
・論文式筆記試験の合格発表の日から2年間、論文式筆記試験(必須科目)を免除
・特許庁において審判または審査の事務に5年以上従事した者
論文式筆記試験(選択科目)の免除について
【口述試験】
工業所有権に関する法令
・特許、実用新案
・意匠
・商標
口述試験の免除について
特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した者は口述試験が免除されます。
弁理士試験の難易度と勉強時間
弁理士試験は、国家資格試験の中でも難易度の高い試験です。
合格率は6~9%と狭き門で、合格に必要な勉強時間の目安は一般的に約3000時間と言われています。
弁理士試験に合格するには
独学では難しいため、資格学校を利用する方が多いです。
通学、通信などの受講方法がありますが、好みの学習法に合わせると良いでしょう。