ITストラテジスト
[目次]
ITストラテジストとは
企業におけるIT技術を用いた経営戦略を行う者で、国家試験であるITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の内の1つです。
経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進します。
ITストラテジスト試験は情報処理推進機構(IPA)が主催しています。
ITストラテジストは平成21年に開始された試験ですが、上級システムアドミニストレータ試験とシステムアナリスト試験が統合され、ITストラテジスト試験となりました。
ITストラテジストの就職先・活躍の場は、SIer、企業の情報システム部・システム開発部門、コンサルティング会社となります。
情報処理推進機構(IPA) ITストラテジスト試験
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html
SEとITストラテジストの違い
SE(システムエンジニア)はクライアントからの要望をヒアリングし、システムの設計または開発を行います。
それに対し、ITストラテジストはIT技術を用いた経営戦略、コンサルティングを行います。
ITストラテジスト試験合格のメリット
経営とITを結びつける戦略家となるスキルが客観的に証明されるため、企業からは重宝されるでしょう。
また、ITストラテジスト試験の合格により弁理士試験の選択科目、中小企業診断士試験の科目免除の対象となります。
特許庁 弁理士試験の選択科目が免除される情報処理技術者試験合格者の試験区分
https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/document/ronbun-menjo-shikaku/03.pdf
中小企業診断協会 中小企業診断士第1次試験他資格等保有による科目免除
https://www.j-smeca.jp/attach/test/tashikakumenjyo_20170413.pdf
業務と役割
ITを活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導します。
(1)業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価する。
(2)業種ごとの事業特性を踏まえて、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価する。
(3)情報システム戦略の実現に向けて、個別システム化構想・計画を策定し、実施結果を評価する。
(4)情報システム戦略の実現に向けて、事業ごとの前提や制約を考慮して、複数の個別案件からなる改革プログラムの実行を管理する。
(5)組込みシステム・IoTを利用したシステムの開発戦略を策定するとともに、開発・製造・保守などにわたるライフサイクルを統括する。
ITストラテジスト試験の受験資格
年齢、学歴等に制限はなく誰でも受験できます。
ITストラテジスト試験の日程
年1回、4月第3日曜日に実施されます。
案内書・願書配布 | 1月上旬から |
願書受付 | 2月中旬 |
試験(午前・午後試験) | 4月第3日曜日 |
ITストラテジスト試験の試験科目
午前Ⅰ 多肢選択式(四肢択一) |
・テクノロジー系 ・マネジメント系 ・ストラテジ系 |
午前Ⅱ 多肢選択式(四肢択一) |
・セキュリティ ・システム戦略 ・システム企画 ・経営戦略マネジメント ・技術戦略マネジメント ・ビジネスインダストリ ・企業活動 ・法務 |
午後Ⅰ・Ⅱ 記述式・論述式 |
・業種ごとの事業特性を反映し情報技術(IT)を活用した事業戦略の策定に関すること ・業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること ・業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること ・事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること ・組込みシステム・IoT を利用したシステムの企画,開発,サポート及び保守計画の策定・推進に関すること |
ITストラテジスト試験は高度情報処理技術者試験であり、高度情報処理技術者試験の午前Ⅰ試験には免除制度があり、以下の条件のうち、いずれかを満たすと以降2年間にわたって午前Ⅰ試験が免除されます。
・応用情報技術者試験の合格者
・高度情報処理技術者試験または情報処理安全確保支援士試験の合格者
・高度情報処理技術者試験または情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点を獲得した人
ITストラテジスト試験の合格率
ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験で最高難度のレベル4に分類され、合格率は15%前後となっています。
ITストラテジスト試験に合格するには
独学で合格することは可能ですが、資格学校を利用した方が効率が良いでしょう。
応用情報技術者試験の合格により、午前Ⅰ試験が免除されるため、試験の労力が軽減されます。
応用情報技術者試験の合格後にチャレンジするのも良いと思います。