【社労士監修】人材開発支援助成金は資格取得をサポートしてくれる心強い助成金
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人材開発支援助成金とは
雇用関係の助成金で、要件を満たせば、学習(訓練)した時間分と学習にかかった費用が助成されます。
雇用保険に加入している従業員が対象となり、資格取得をサポートしてくれる事業主向けの心強い助成金です。
人材開発支援助成金の対象となる講座は資格試験、能力検定である各種国家試験、簿記検定、プログラミング検定等といった対策講座は対象(受験料を除く)となります。
語学に関しては、職務上語学力が必須であるものは対象となります。
注意点として、教育訓練給付制度との併給不可、つまり両方の受給はできないことに留意ください。
以前は、人材開発支援助成金の対象となる学習は講師と生徒の対面による訓練が原則でしたが、令和4年4月からの改正で新たにeラーニングと通信制による訓練にも、助成金が支給されることとなりました。
人材開発支援助成金は特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コースなど複数のコースが設けられていますが、その中で特定訓練コース、一般訓練コースを紹介をします。
用語の確認
・OFF-JT ( OFF the Job Training )
企業の事業活動と区別して行われる訓練で、例として外部の教育訓練機関により行われるものです。
・OJT (On the Job Training)
適格な指導者の指導の下、企業内の事業活動の中で行われる実務を通じた訓練のことです。
・eラーニング
コンピュータなど情報通信技術を活用した遠隔講習であって、訓練の受講管理のためのシステム(LMS)により、訓練の進捗管理が行えるものをいいます。
・通信制
郵送などにより、一定の教育計画の下に、教材、補助教材等を受講者に送付し、必要な指導者がこれに基づき、設問回答、添削指導、質疑応答などを行うものをいいます。
・ジョブ・カード
ジョブ・カードは、職務経歴、職業能力等をまとめたものです。
従業員一人ひとりが自分自身のキャリアを見つめなおし、成長することを手助けするツールとして、キャリア・プランシート、職務経歴シート、職業能力証明シートの3つの様式で構成されています。
人材開発支援助成金(特定訓練コース)とは
特定訓練コースは、労働生産性の向上に資する訓練、若年者に対する訓練など、効果が高い10時間以上の特定の訓練や、 OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた訓練として認定を受けた場合に助成するコースです。
特定訓練コースは、さらに枝分かれしており、① 労働生産性向上訓練、② 若年人材育成訓練、③ 熟練技能育成・承継訓練、④ 認定実習併用職業訓練があります。
① 労働生産性向上訓練
OFF-JTにより、労働生産性の向上に資する訓練を実施し、実訓練時間数が10時間以上であることです。
対象となる訓練は、職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)や職業能力開発大学校等で実施する高度職業訓練等となります。
② 若年人材育成訓練
OFF-JTにより、35歳未満の若年労働者であり、雇用保険被保険者となった日から5年を経過していなく、実訓練時間数が10時間以上であることです。
③ 熟練技能育成・承継訓練
OFF-JTにより、対象は熟練技能者であり、指導力強化や技能承継のための訓練、認定職業訓練を受講し、実訓練時間数が10時間以上であることです。
熟練技能者は、特級技能検定、1級技能検定または単一等級技能検定合格者、職業訓練指導員等となります。
④ 認定実習併用職業訓練
事前に厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練(認定実習併用職業訓練)を実施し、ジョブ・カードによる職業能力の評価を実施した場合の助成メニューです。
通常、人材開発支援助成金は計画書を提出し、その後講座をカリキュラムに沿って、訓練を開始しますが、実習併用職業訓練はOJTの時間分を助成対象に含めるため、事前に大臣認定に係わる書類を提出し、承認を受けます。
対象労働者は、15歳以上45歳未満の労働者であって、新卒、フルタイム労働に転換した者、現状フルタイムである労働者が対象となります。
実習併用職業訓練の要件
・OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
・訓練実施期間が6か月以上2年以下であること
・総訓練時間数が1年当たりの時間数に換算して850時間以上であること
・総訓練時間数に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること
・訓練終了後にジョブ・カードにより職業能力の評価を実施すること
一般訓練コース
特定訓練コースに該当しない講座で、職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるためのOFF-JTにより実施される実訓練時間数が20時間以上の訓練に対して助成されるコースです。
一般訓練コース・特定訓練コース概要
特定訓練コース |
①労働生産性向上訓練 | OFF-JTのみ |
②若年人材育成訓練 | ||
③熟練技能育成・承継訓練 | ||
④認定実習併用職業訓練 ※厚生労働大臣の事前認定が必要 |
雇用型訓練(OJTとOFF–JTを効果的に組み合わせて実施する訓練) | |
一般訓練コース |
OFF-JTのみ |
助成額・助成率
支給対象となる訓練 | 経費助成 | 賃金助成 (1人1時間当たり) |
OJT実施助成 (1人1コース当たり) |
|
---|---|---|---|---|
特定訓練コース | OFF–JT | 45% | 760円 | – |
OJT | – | – | 20万円 | |
一般訓練コース | OFF–JT | 30% | 380円 | – |
支給限度額
経費助成限度額(1人当たり)
1人1年間職業能力開発計画あたりのOFF-JTにかかる経費助成の限度額は、実訓練時間数に応じて下表のとおりです。
企業規模 | 経費助成額 | |
---|---|---|
特定訓練コース | 中小企業 | 15~50万円 |
大企業 | 10~30万円 | |
一般訓練コース | 7~20万円 |
まとめ
助成額の大きさでは、①実習併用職業訓練>②特定訓練コース(実習併用職業訓練以外)>③一般訓練コースとなります。
人材開発支援助成金の申請は他の助成金、給付制度と比べると労働局への提出書類が多いのが難点ですが、資格・検定の学習、取得、またはスキルアップをサポートしてくれる心強い助成金ですのでご活用ください。
申請は社会保険労務士に依頼した方が良いでしょう。
人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)のご案内(詳細版)令和4年12月
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001019758.pdf